兵庫県伊丹市
- 月診療日
- 火診療日
- 水診療日
- 木診療日
- 金診療日
- 土診療日
- 日祝診療日
9:00–13:00 / 14:00–18:00
* 最終受付時間は17:30となります
診療科により異なります詳しく
Column
気管支喘息は、気道に慢性的な炎症が起こることで、咳や息苦しさといった症状を繰り返す病気です。乳幼児期に発症することが多く、早めに適切な治療を始めることが大切です。
気管支喘息は、気道(空気の通り道)に慢性的な炎症が続き、発作的に気道が狭くなることで、咳やゼーゼー・ヒューヒューという呼吸(喘鳴)、息苦しさを繰り返す病気です。狭くなった気道は、自然に、または治療によって元に戻るのが特徴です。
乳幼児期に多く、以前は2~3歳がピークでしたが、最近のデータでは発症がより早くなっています。発症する場合は6歳までに80~90%の子どもが発症すると言われているため、早めに適切なケアを始めることが大切です。
最近では、炎症をしっかり抑える日々の治療を続けることで喘息発作を抑制し、喘息発作による死亡や入院が少なくなってきています。
典型的な症状としては、咳が止まらなくなる、喘鳴(ゼーゼー・ヒューヒューという音を伴う呼吸)を伴う咳や、息が苦しくなる状態が挙げられます。
運動をした際や、大きな声で笑った後に咳き込むような症状も、軽度の喘息発作である可能性があります。
喘息は、生まれ持った体質(遺伝的要因やアレルギーになりやすい体質など)と、ダニなどのアレルゲン、ウイルス感染、タバコの煙といった環境的要因が、互いに影響し合って発症すると考えられています。
喘息の症状を悪化させる要因には、アレルギー反応、感染症、気圧や気温の変化、タバコの煙、花火やお香による煙、ストレスなど、様々なものが挙げられます。気管支喘息を発症している子どもの多くは、ダニ(ハウスダスト)、花粉、食べ物などに対するアレルギーを併せ持っているとされています。
喘息の治療においては、発作を予防するために、悪化する要因への対策、薬物療法、体力づくりが重要です。そのためにも、症状を悪化させる要因を正しく理解しておくことが大切です。
アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)が体内に侵入すると、アレルギー反応が引き起こされ、喘息の症状が悪化する要因となります。主なアレルゲンには、ダニ(ハウスダスト)、花粉、カビ、イヌやネコなどペットの毛やフケ、ゴキブリなど昆虫の死骸やフンなどが挙げられます。どの物質がアレルギー反応の原因となっているかは、血液検査などによって確認することが可能です。アレルゲンの少ない環境で生活することが重要であるため、こまめに掃除を行い、室内を清潔に保つよう心がけましょう。
かぜなどのウイルス感染は、喘息の発作を引き起こす最も多い原因の一つです。特に乳幼児では、RSウイルスやライノウイルスなどの感染をきっかけに発作が起こりやすくなります。手洗いなどで感染予防を心がけ、インフルエンザなどの予防接種も受けておきましょう。万が一感染した場合には、早めに医療機関を受診することが大切です。
運動がきっかけとなって喘息発作が起こる場合があり、このような状態は「運動誘発気管支収縮(EIB)」と呼ばれています。冷たく乾燥した空気を口から吸い込むことで気道が冷えたり乾燥したりして、発作が引き起こされることがあります。
短時間や軽度の運動では問題がなくても、長時間にわたる運動や激しい運動では発作が生じることがあります。特に、気温が低く空気が乾燥している冬季には、症状が現れやすくなります。
なお、激しい運動をして喘息発作が出た場合でも、運動が全くできなくなるわけではありません。症状の程度に応じて運動量を調整する必要はありますが、治療を継続しながら発作の予防に努めることで、徐々に制限を緩和し、様々な運動に取り組めるようになります。
気温や気圧の変化、空気の乾燥などの気象条件によっても、喘息発作が引き起こされることがあります。
特に、冬季に室内から屋外へ出た際の急激な気温差や、台風の接近などによる気圧の急変時に、発作が生じやすくなります。
大気中の汚染物質が原因となり、喘息発作が引き起こされることがあります。気管支喘息では、気管支の粘膜が炎症を起こして過敏な状態になっているため、些細な刺激でも発作が生じる可能性があります。刺激となる物質としては、タバコの煙、花火やお香の煙、微小粒子状物質(PM2.5)、黄砂などが挙げられます。
家庭内に喘息のお子さんがいる場合には、ご家族の禁煙が望ましく、少なくとも室内での喫煙は控えましょう。また、屋外で喫煙した場合でも、喫煙後しばらくの間は呼気に有害物質が含まれている可能性があるため、喫煙後は一定の時間を空けてから室内に入るようにしましょう。
強いストレスによって、喘息発作が起こりやすくなることがあります。疲労の蓄積や睡眠不足も発作の誘因となるため、日常生活の中で十分な休息を取りましょう。
肺機能検査は、呼吸によって空気を吸ったり吐いたりする動作を通じて、肺の働きを調べる検査です。主に評価される項目は、以下の3点です。
喘息では、気管支に炎症が生じることで閉塞が起こるため、一秒率や一秒量の測定が重要となります。
気管支喘息では、炎症によって気管支が狭くなった状態になるため、肺機能検査では「閉塞性障害」と呼ばれる異常が認められます。閉塞性障害がある場合、息を速く吐き出しにくくなるため、一秒率や一秒量が低下します。一秒率の正常範囲は年齢によって異なり、70%未満という基準は主に大人向けのものです。お子さんでは大人より高い値が正常とされるため、年齢や身長から求めた予測値と比べて判断します。
また、肺機能検査では、息を思いきり吐いた際に得られる呼気の流れと量を示す曲線を「フローボリューム曲線」と呼びます。気管支喘息の患者様では、この曲線の後半が下向きにへこんだ形になることが特徴です。
気管支喘息の診断においては、短時間作用性β2刺激薬の吸入によって肺機能が改善するかどうかを確認します。
気道可逆性を評価するためには、吸入薬を使用した15〜30分後に肺機能検査を行い、吸入前後の一秒量を比較します。この検査は「気道可逆性試験」と呼ばれます。一秒量が12%以上改善した場合には(大人では12%以上かつ200mL以上)、気道の可逆性があると判断され、喘息の可能性が高いとされます。
さらに、喘息の場合、吸入後に咳や喘鳴などの症状が軽減されるケースもよく見られます。
通常の肺機能検査に加えて、「モストグラフ」という機器を使い、強制オシレーション法(オシロメトリー)と呼ばれる方法で気道抵抗(=気管支の狭さ)を測定する検査もあります。検査方法は、マウスピースを咥えて約20秒間、普段通りに呼吸するだけという非常に簡単なものです。4〜5歳の小さなお子さんでも実施可能なため、小児の患者様にとっても非常に有用な検査です。
気管支が狭くなっている場合には、波の山が高くなり、赤〜黒色で表示されます。一方、気管支が広く異常がない場合には、波が平らで緑色に表示されます。
モストグラフでも、気道可逆性試験を行うことができます。短時間作用性β2刺激薬の吸入後に気道抵抗が改善すると、波の高さが低くなり、色も緑色へと変化します。
吸入薬の使用後には気道抵抗が改善され、波が低くなって緑色に変化している様子が確認できます。
喘息の患者様では、気道に炎症が生じることで、一酸化窒素(NO)を生成する酵素が増加し、呼気中のNO濃度が高くなる傾向があります。健康なお子さんでは多くが20ppb未満で、35ppb以上であれば気道にアレルギー性の炎症がある可能性が高いと考えられます。
ただし、鼻炎があると呼気中のNO濃度が上昇することがあるため、検査結果の解釈には注意が必要です。
検査方法は、息を吐いた状態でマウスピースを咥え、大きく息を吸い込みます。その後、一定のスピードで息を吐き出すことで検査が完了します。分析には約1分程度しかかからず、すぐに結果が確認できます。
特異的IgE抗体検査は、血液を用いて何に対してアレルギーがあるかを調べることができる検査です。
指先などから採るごく少量の血液(約0.1mL)で調べられる迅速検査もあり、約20分で結果がわかるため、お子さんへの負担が少なく済みます。ただし、一度に調べられるアレルゲンの種類は限られます。
また、特定のアレルゲンに対する反応とは別に、全身のアレルギー反応の強さや体質を示す指標として「血清総IgE値」があります。血清総IgE値が高いほど、アレルギーを起こしやすい体質である可能性があります。ただし、小児の場合は年齢によって基準値が異なるため、結果の解釈は慎重に行います。
喘息の特徴は、慢性的な気道の炎症が続くことです。炎症によって傷ついた気道の粘膜が元の状態に回復するには、長い時間を要します。一度傷ついてしまった気道はとても敏感になり、些細な刺激でも発作を起こしやすくなります。
このような状態が長く続くと、やがて気管支が細く固くなってしまったり、肺の働きが低下したりしてしまうことがあります。そのため、喘息の長期管理がとても大切です。
喘息の長期管理の目標は、症状をしっかりコントロールして発作(急性増悪)を起こさないようにし、呼吸機能を正常に保って、喘息のないお友達と同じように元気に生活できるようにすることです。これによって気道の炎症を抑え、気道の構造が変化してしまう「リモデリング」を防ぐことに繋がります。
環境整備で目指すことは、生活環境から喘息発作の原因となるものを減らすことです。喘息発作で一番重要なアレルゲンは、ダニやハウスダストです。
これらをできるだけ生活環境から取り除くために、床の掃除機がけを少なくとも3日に1回は丁寧に行ったり、防ダニ寝具や高密度繊維の布団カバーを使ったり、布団やシーツをこまめに洗濯・日光干ししたり、布製のソファーやぬいぐるみを減らしたりすることが大切です。また、犬や猫、小鳥など毛や羽のあるペットは、できれば飼育しないことをお勧めします。すでに飼っている場合には、かかりつけ医と相談するようにしましょう。
また、タバコの煙は喘息のお子さんの気道を強く刺激してしまいます。お子さんの前で喫煙しなくても、呼気や衣類に付着した化学物質が気道に悪影響を与えることがあります。ご家族に喫煙者がいる場合には、ぜひ禁煙に挑戦してみてください。
喘息の症状が緩和できている場合には、適度な運動を行って基礎体力を向上させましょう。運動によって発作が起こりにくくなり、重症化を防ぐ効果も期待できます。
喘息の患者様には主に、水泳など、湿度が高く発作が起こりにくい環境で行える運動がよく勧められます。ただし、適切な治療を受けていれば、どのような運動でも行うことが可能です。お子さんが好きで、楽しく続けられる運動を勧めてあげるのが良いでしょう。
一方で、運動によって喘息発作が誘発されることがあります(運動誘発気管支収縮〈EIB〉と呼びます)。予防のためには、運動前にしっかりウォーミングアップを行う、運動と休憩を交互に繰り返す、冬場など乾燥した環境ではマスクを着用するなどの工夫が有効です。運動による症状が多い場合には、運動前に気管支拡張薬を吸入したり、内服したりすることで予防できます。
もし発作が起きてしまった場合には、楽な姿勢でゆっくり呼吸をしながら、少しずつ水分を取りつつ休みましょう。気管支拡張薬があれば使用してください。多くの場合、症状は30分〜1時間ほどで自然に落ち着きますが、気管支拡張薬を使うとより早く改善します。症状が改善した場合には、運動を再開しても問題ありません。
ただし、しばらく時間が経っても症状が改善しない場合には、医療機関を受診してください。運動の度に発作が起きてしまうような場合は、喘息の基本的なコントロールが不十分である可能性があります。その場合には、治療内容の見直しを検討します。
小児喘息の治療の目標は、基本病態である気道炎症を抑制し、無症状の維持や発作(急性増悪)の予防、呼吸機能や気道過敏性の正常化を図ることです。
これらの目標を達成するためには、症状の程度に応じた適切な治療薬の選択が重要です。長期管理の中心は吸入ステロイド薬で、それだけで十分に抑えられない場合には、吸入ステロイド薬と長時間作用性β2刺激薬の配合剤などを組み合わせます。治療薬は年齢によって使用できる種類が異なります。
また、原因となるアレルゲンからの抗原回避も、発作予防において非常に重要です。
| 薬 | 内容 |
|---|---|
| ステロイド薬 | 気管支の炎症を抑える薬で、喘息の長期管理に使用されます。主に吸入薬として使用しますが、発作が強い場合には、短期間、内服薬や点滴を使用することもあります。 |
| ロイコトリエン受容体拮抗薬(内服薬) | 気道の炎症を抑え、気管支が狭くなるのを防ぐ内服薬です。 |
| β2刺激薬(吸入) | 気管支を広げる作用のある吸入薬です。短時間作用性のものは主に発作時に使用し、長時間作用性のものは吸入ステロイド薬との配合剤として長期管理に使われます。 |
| テオフィリン薬 | 気管支拡張作用を持つ内服薬で、長期管理に用いられることがありますが、けいれんなどの副作用に注意が必要なため、慎重に使用されます。 |
| 生物学的製剤(注射薬) | ほかの治療では十分にコントロールできない重症の場合に、年齢に応じて使用を検討します。 |
小児喘息の最終的な目標は、大人になってから喘息を持ち越さないよう、子どものうちに症状も治療も必要ない状態(寛解)を目指すことです。そのための第一歩として、「薬を使っていれば発作が起こらない」状態を目指すことが大切です。
症状が出ていない時でも、気道の中では炎症が続いていることがあります。そのため、「症状がないから」といって薬を中断せず、毎日きちんと継続することが重要です。
小児喘息の段階でしっかりとコントロールできれば、次のステップとして薬が不要な状態へと進むことができ、大人の気管支喘息へ移行するのを防ぐことにつながります。ただし、症状がなくなってから大人になって再発することもあるため、自己判断で治療を中止せず、医師と相談しながら薬を減らしていきましょう。
喘息発作が起きてしまった時の対処法を、予め知っておくことが大切です。
まず、強い発作のサイン(唇や爪の色が白っぽい、または青紫色、息を吸うときに胸がペコペコへこむ、苦しくて横になれない・話せない・歩けない、ぼーっとしている、ひどく興奮している など)がないかを確認し、サインがあればすぐに医療機関を受診するか救急車を呼んでください。サインがなければ、医師から処方されている発作止めの薬(気管支拡張薬)を指示どおりに使いましょう。
また、痰が絡みにくくなるよう、こまめに水分を摂らせてください。時には吐いてしまうこともありますが、痰が出ることで呼吸が楽になる場合もあります。
気管支拡張薬など、医師から発作時のために処方されている薬がある場合には、指示に従って使用してください。
換気をしたり、落ち着いて少し外に出てみたりすることで気分転換になり、呼吸がしやすくなることもあります。発作時には少し体を起こして座っている方が呼吸も楽になります。小さなお子さんの場合は、抱っこしてあげることで体が冷えにくくなり、不安も和らげることができます。
飲み薬や吸入薬を使用しても効果が十分でない場合、無理に我慢するのは危険です。以下のような状況では、適切な対応をとることが大切です。