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乳幼児健診のきほん

公開日
更新日
執筆
坂口 平馬
監修
西川 和希 医師

乳幼児健診は、お子さんの健康状態や発達を定期的に確認するためのものです。法律(母子保健法)で市区町村に実施が義務づけられているのは1歳6か月と3歳児健診ですが、他にも多くの自治体で、月齢ごとの健診が実施されています。

乳幼児健診とは?

乳幼児健診は、お子さんの健康状態や発達を定期的に確認し、病気の早期発見につなげるとともに、親子の関係や子育ての状況を把握して必要な支援につなげる、母子保健の中心となる事業です。子育ての悩みを相談する場にもなります。

身体的・精神的な発育、栄養、疾患、予防接種の状況などを確認します。

法律(母子保健法)で市区町村に実施が義務づけられているのは1歳6か月児健診と3歳児健診です。それ以外の乳児期の健診は市区町村の努力義務として行われており、3〜5か月頃の健診はほぼすべての自治体で、9〜12か月頃の健診も8割以上の自治体で実施されています。

お子さんの健康を守るために、受けられる健診は漏れなく受診しましょう。体調不良などで受けられなかった場合は、自治体に相談して別の日程で受けるようにしましょう。

乳幼児健診はいつ?どこで受ける?

乳幼児健診のスケジュール

1歳6か月健診と3歳児健診は、法律で定められた健診ですが、3~4か月健診はほとんどの自治体で、9~10か月健診も多くの自治体で行われています。お子さんの健やかな成長を支えるためにも、健診の予定をきちんと把握しておきましょう。

乳幼児健診はどこで受けられる?

赤ちゃんの1か月健診は、母体の産後の健康チェックと併せて、出産した産院で行われます。以降の健診は、お住まいの市区町村の保健センターや地域の医療機関で受けることになります。

健診 対象年齢 場所
1か月健診 1か月 出産した病院、産院
3~4か月健診 3~4か月 自治体の保健センター、小児科
6~7か月健診 6~7か月 自治体の保健センター、小児科
9~10か月健診 9~10か月 自治体の保健センター、小児科
1歳6か月健診 1歳6か月~2歳未満 自治体の保健センター、小児科
3歳児健診 3歳~4歳未満 自治体の保健センター、小児科
5歳児健診 4〜5歳頃(年中児ごろ。自治体による) 自治体の保健センターなど

※健診の種類や時期は自治体によって異なります。2023年度の調査では、公費で行う自治体は、6〜8か月頃の健診で約5割、1か月児健診で約3割、5歳児健診で約1割でした。里帰り出産の場合は、双方の自治体に相談しましょう

乳幼児健診の内容

乳幼児健診(乳児健診)では、赤ちゃんの身長や体重、胸囲、頭囲を測定し、母子健康手帳の成長曲線に沿って順調に育っているかをチェックします。身体的な発育に加え、粗大運動や微細運動、精神面の発達状況、病気の有無なども一緒に調べられます。保健センターなどで行う集団健診では、医師のほか、歯科医師、保健師、管理栄養士、心理職など多くの職種が関わり、育児や食事、発達の相談もできます。

1か月健診

授乳の状況と体重の増え方、黄疸の有無と便の色(母子健康手帳の便色カードで確認)、おへその状態、股関節の開き具合(発育性股関節形成不全〈先天性股関節脱臼〉)、心雑音、筋肉の緊張やモロー反射などの反射、首の傾き(斜頸)などがチェックされます。ビタミンK2シロップの3回目の投与も行われます。お母さんの体調や気持ちの面についても相談できます。育児に関して不安なことがあれば、気軽に相談しましょう。

3~4か月健診

首のすわり具合、音に対する反応、肌の状態、先天性疾患の有無などを確認します。「あやすと笑顔を返すか」「音への反応があるかどうか」「視線でものを追うか」といった反応が発達の目安になります。モロー反射などの原始反射が消えているかや、股関節の開き具合も確認します。湿疹(いわゆる乳児湿疹)が気になる時期でもあるため、心配な場合は相談しましょう。

6~7か月健診

寝返りやお座りの発達、離乳食の回数などが確認されます。おもちゃへの興味や人見知りの有無など、精神面の成長もチェックされます。生後6か月頃からは、母親から受け継いだ免疫が弱まるため、感染症対策指導が実施されることもあります。

9~10か月健診

つかまり立ちやハイハイなどの運動機能、歯の生え方、喃語(ダダ・ババなど)、呼びかけへの反応、バイバイや拍手などのまね、人見知り、離乳食の進み具合などを確認します。「パラシュート反射」(転倒時に手を出す反応)や予防接種の進行状況もチェック対象です。視覚・聴覚などの先天的疾患が見つかる可能性もある時期です。

1歳6か月健診

身体の発育や栄養状態、心音、おなかの張りやしこり、皮膚の異常の有無、目や耳の異常などが確認されます。1人で歩けるか、小さな物を掴めるか、物の名前が理解できるか、指さしができるか、名前を呼ばれて振り向くか、意味のある言葉(単語)をいくつか話せるか、「〇〇はどれ?」と聞かれて絵を指さして答えられるかといった、言葉や聞こえ、社会性の発達もチェックされます。歯科健診も行われます。

3歳健診

視力・聴力の検査、医師の問診、生活習慣の確認、言語・精神・運動の発達状況、社会性の確認、歯科健診や尿検査などが実施されます。具体的には、名前と年齢が言えるか、大きい・小さい、長い・短いの区別ができるか、色の名前が言えるか、両足でジャンプしたり片足で立ったりできるかなどがチェックされます。

視力は、事前に配布される検査セットを使って家庭で片目ずつ検査し、必要に応じて会場で再検査や屈折検査が行われます。弱視は3歳児健診で見つかれば、治療により就学までに改善が期待できるため、家庭での検査もしっかり行いましょう。

5歳児健診

就学前に、言葉やコミュニケーション、集団での行動などの発達を確認し、発達障害など支援が必要なお子さんを早めに見つけて、就学に向けた支援につなげることを目的とした健診です。2023年度から国の補助が始まり、実施する自治体が増えています。

乳幼児健診の持ち物

  • 母子健康手帳
  • 健康保険証(マイナ保険証または資格確認書)
  • 乳幼児健康診査受診票・問診票(事前に記入しておきましょう)
  • 乳幼児医療証(子ども医療費受給者証)
  • 替えのおむつ、着替え、タオル、ミルクや飲み物など

乳幼児健診は無料券が配布されるの?料金は?

乳幼児健診は、母子保健法に基づき市区町村が実施するもので、市区町村からの通知を受けて、集団(保健センターなど)または個別(委託医療機関)で受けます。これまで公費負担で実施されてきた健診として、1歳6か月児健診と3歳児健診に加え、乳児期前期(3~6か月頃)と後期(9~11か月頃)の健診も、多くの自治体で公費で受けられます。一方、1歳児や2歳児など、それ以外の時期の健診は自費となることが多いです。さらに2023年度からは、国の補助事業として、これまで多くが自費だった1か月児健診と、就学前の5歳児健診も公費で実施できるようになり、全国で導入が進められています。実施の有無や時期は自治体によって異なるため、お住まいの市区町村にご確認ください。

乳幼児健診は2種類あり、自治体が公費で実施する健診は無料(または一部助成)で受けられます。一方、それ以外の時期に保護者の希望で受ける健診は自費となりますが、自治体によっては受診券などの助成が受けられる場合もあります。

母子保健のデジタル化(母子保健DX)

2020年から、乳幼児健診の結果をマイナポータルで確認できるようになっています。今後は、電子版の母子健康手帳(スマートフォンのアプリ)で健診の案内や結果を確認したり、受診時にマイナンバーカードを提示することで受診券の代わりにしたりできる仕組みの全国展開が、2026年度中に予定されています。

この記事の制度・スケジュールに関する情報は2026年9月時点のものです。

参考文献

  • 乳幼児健康診査 身体診察マニュアル(平成29 年度子ども・子育て支援推進調査研究事業 乳幼児健康診査のための「保健指導マニュアル(仮称)」及び 「身体診察マニュアル(仮称)」作成に関する調査研究 国立研究開発法人 国立成育医療研究センター)
  • 小児科診療 第89巻 乳幼児健診総論
  1. 子どもの発達の凸凹と向き合う
  2. ロタウイルス胃腸炎
  3. おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)