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Column

子どもの花粉症

公開日
更新日
執筆
坂口 平馬
監修
西川 和希 医師

花粉症は、スギやヒノキなどの花粉が原因で、くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみなどが起こる季節性のアレルギー性鼻炎です。近年は発症の低年齢化が進んでおり、小さなお子さんでもみられます。

乳幼児は花粉症になる?いつから?

花粉を何度か吸い込むうちに、花粉に反応するIgE抗体がつくられ(感作)、その後に再び花粉を吸い込むとアレルギー反応が起こり、花粉症を発症します。感作が成立するまでには花粉にさらされる期間が必要なため、0歳での発症はまれですが、個人差があり、幼児期から発症するお子さんもいます。

近年、スギ花粉症を発症するお子さんの年齢は低下傾向にあり、1〜2歳頃から症状が出始めるケースが増えています。実際に、2021年版のアレルギー性鼻炎ガイドによると、0〜4歳の子どもの約3.8%、5〜9歳では30.1%がスギ花粉症を有しているとの報告もあります。花粉症全体の有病率は4割を超え、重症の方も増えています。

中には、ハウスダストやダニなどによる通年性アレルギー性鼻炎を併発することもあります。お子さんのアレルギー性鼻炎の原因として最も多いのは、ダニ・ハウスダストです。

花粉症の症状と見分け方

子どもの花粉症の症状

  • 鼻水や鼻づまり、くしゃみ
  • 鼻をすすりがち
  • 鼻を頻繁にこする
  • いびきをかく
  • 口を開けて呼吸している(口呼吸)
  • 目をかゆがる、こする

花粉症になると、花粉が多く飛ぶ時期にはくしゃみや鼻水、鼻や目のかゆみ、鼻づまりが強くなります。

また、鼻づまりで眠りが浅くなり、睡眠不足になるお子さんも少なくありません。その影響により、昼間の授業や習い事に集中できず、ぼんやりしてしまうこともあります。

「花粉症くらい…」と思われがちですが、小さなお子さんにとっては日常生活に大きな支障をきたす辛い症状です。気になる様子があれば、早めに小児科を受診しましょう。

花粉症と風邪の見分け方

症状が続く期間

花粉症の症状は、花粉が飛んでいる期間中(スギでは約3か月)続き、花粉の飛散量が多い日に症状が強くなり、花粉が少ない日や屋内では、比較的落ち着く傾向があります。一方、風邪は通常数日から1週間ほどでよくなります。

症状

花粉症は透明な鼻水、鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみ・充血などが主な症状で、喉のかゆみや咳を伴うこともあります。そして、高熱などの全身症状は起こりにくいです。

対して風邪の場合は、喉の痛み、発熱、全身の倦怠感、頭痛が見られ、鼻水や咳もありますが、鼻水は透明から黄色がかった色に変化することがあります。

子どもの花粉症は何科を受診する?

花粉症の症状が見られたら、まずはかかりつけの小児科で診てもらいましょう。

体質やこれまでの病歴を把握している医師であれば、風邪など他の可能性も踏まえて適切に判断してもらえるため、よりスムーズに診察が進みます。

必要に応じて、眼科や耳鼻咽喉科での診察を勧められることもあります。

特に、薬を使っても症状がよくならない、鼻づまりが強い、においがわかりにくい、鼻血を繰り返す、黄色い鼻水が続く、頬や頭が痛い、いびきがひどく寝ているときに呼吸が止まる、といった場合は、耳鼻咽喉科など専門の医療機関での診察が勧められます。

子どもの花粉症の検査

問診や鼻の中の観察で、花粉症に典型的な症状や所見がみられる場合には、その時点で治療を始めることもあります。ただし、舌下免疫療法を始める場合や、薬の効きがよくない場合には、原因となる花粉を確かめる検査が必要です。

アレルギー検査(採血)

この検査では、アレルギー体質の目安となる「総IgE値」(IgE抗体の総量)と、特定のアレルゲンに反応する「特異的IgE抗体」を調べることが可能です。IgE抗体は、鼻の粘膜などにあるマスト細胞(肥満細胞)の表面にくっついており、そこにアレルゲンが結合すると、マスト細胞からヒスタミンやロイコトリエンなどの化学物質が放出され、様々なアレルギー症状を引き起こす働きを持っています。採血検査によって、IgE抗体の総量と、どのアレルゲンに反応があるかが把握できるため、より有効な治療方法の選択につながります。ただし、検査が陽性でも症状と合っていなければ花粉症とは限らないため、症状とあわせて判断します。

プリックテスト(皮膚検査)

皮膚にアレルゲン液を1滴垂らし、その上から専用の細い針を軽く押し当てて、赤みやふくらみが出るかを見る検査です。

負担が少なく、約15分で結果が判明するため、その日のうちに結果が分かるというメリットがあります。

鼻汁好酸球検査

鼻水を綿棒でとり、アレルギーに関係する細胞(好酸球)が増えているかを調べる検査です。かぜなどによる鼻炎との区別に役立ちます。

子どもの花粉症の治療方法

スギ花粉症の場合は、花粉が飛び始める予測日の頃、または少しでも症状が出始めた時点で薬を始める「初期療法」により、シーズン中の症状を軽くできるとされています。

内服薬・点眼・点鼻薬

飲み薬(第2世代抗ヒスタミン薬など)に、点鼻薬(鼻噴霧用ステロイド薬など)や点眼薬を組み合わせることで、症状の緩和が期待できます。薬は、症状のタイプ(くしゃみ・鼻水が中心か、鼻づまりが中心か)と重症度に応じて選びます。

内服薬には、第2世代抗ヒスタミン薬、ケミカルメディエーター遊離抑制薬、抗ロイコトリエン薬などがあり、眠気などの副作用が少ない第2世代抗ヒスタミン薬が中心となります。ただし、薬の成分によっては、使用できる年齢に制限が生じる場合もあります。

鼻づまりが強いときに使う血管収縮薬の点鼻薬は、使いすぎるとかえって鼻づまりが悪化する(薬物性鼻炎)ため、短期間に限って使います。2歳未満のお子さんには使えません。また、ステロイドの注射(筋肉注射)は、副作用の面から勧められていません。

重症のスギ花粉症で、飲み薬と鼻噴霧用ステロイド薬を併用しても症状が強い場合には、12歳以上であれば抗IgE抗体(オマリズマブ)の注射が検討されます。

舌下免疫療法

舌下免疫療法とは、アレルゲンを含む薬を毎日舌の下に置いて、少しずつ体を慣らしていく療法です。3〜5年程度の長期的な治療が必要ですが、症状を和らげるだけでなく、アレルギーの体質そのものを改善し、治療を終えた後も効果が長く続くことが期待できる治療法です。注射で行う皮下免疫療法に比べて、痛みがなく、重い副作用も少ないとされ、通院回数も抑えられることから、近年注目を集めています。

スギ花粉症の舌下免疫療法は5歳以上から始められ、花粉が飛んでいない時期(6月〜12月頃)に開始します。

皮下免疫療法

アレルゲンを含む薬剤を注射で少しずつ体内に取り入れ、体を慣らしていくことでアレルギー反応が起きにくい体質を目指す治療です。

増量期には週に1回程度の通院が必要ですが、維持期に入れば月1回の通院で済むため、負担が軽減されます。舌下免疫療法と同様に効果が期待できますが、注射の痛みや、まれに全身性のアレルギー反応(アナフィラキシー)が起こる可能性があるため、すぐに対応できる医療機関で行います。

お子さんの花粉対策(家庭でできること)

花粉が多い日は外出を避ける

花粉症の時期は、飛散量を確認しておくことが大切です。

飛散が多い日には外出を控えるか、なるべく短時間で済ませましょう。特に、晴れて気温が高い日、風の強い日、雨が降った翌日は、花粉が多く舞いやすいため注意が必要です。

ツバの大きい帽子をかぶせる

2歳未満の赤ちゃんはマスクを使えないため、外出の際はツバの広い帽子をかぶせて、顔に花粉がかかるのを防ぎましょう。マスクができる年齢のお子さんは、マスクやメガネも活用しましょう。

帰宅時に花粉を払い、すぐ着替えさせる

外出後は髪や衣類についた花粉を室内に持ち込まないよう、玄関前で払い落とすことが大切です。衣類はすぐに着替えて洗濯し、顔や手も洗いましょう。

洗濯物を外に干さない

外に干すと花粉が付着し、室内へ入り込んでしまいます。部屋干しや乾燥機を活用しましょう。

空気清浄機を使用する

室内に入り込んだ花粉の除去には、空気清浄機が有効です。窓を長時間開けっぱなしにせず、換気は最小限に留めて清浄機を併用しましょう。

部屋を加湿する

乾燥すると鼻粘膜が乾燥するため、花粉を排除する力が弱まってしまいます。そのため、部屋は常に、40〜60%程度の湿度に保ちましょう。加湿器や濡れタオルなどを活用してください。ただし、湿度が60%を超えるとダニやカビが増えやすくなるため、加湿しすぎには注意しましょう。

参考文献

  • 鼻アレルギー診療ガイドライン 2020年版準拠
  • 鼻アレルギー診療ガイドライン 2024年版、鼻炎の分類と重症アレルギー性鼻炎の治療
  1. 子どもの発達の凸凹と向き合う
  2. 乳幼児健診のきほん
  3. ロタウイルス胃腸炎